模型で考える
いまから20年近く前から模型を作りはじめた。それまではパースを描いていたが、なるべく実態に近いもので検討しようということで始めた模型づくりだった。

  図面をいくら仕上げても見えないことは多いものだ。とくに高さやボリューム感、色のバランス、さらに平面プランのコンセプトとの食違いなどがはっきりするのは、やはり模型の検討によることが多い。模型をつくり、実際の視線に含わせて色々な方向から眺める。それは設計作業の一つのポイントになる。

 実際、図面を眺めている時と、模型を眺めている時では、全然違うことを考えているものである。今はどんな小さな建物でも模型をつくるし、良い模型が作れなければ、良い仕事ができないものとまで考えている。

 模型はまた、クライアントに対するプレゼンテーションや、現場にどういうものを造るのかを事前に示す意味もある。出来上がりがこうと分かった上で施工していくのと、それを知らずに、部分部分を積み上げて最後に形が分かるのとでは、間違いの数も違ってくるように思う。


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