庭を造ることが出来る
設計者に
家の良さというものは平面がきれいだとか使いやすい、ということだけにあるのではない。

 自分の経験を振返ってみても、家の間取りやその便利さだけを考えながら、動線を短くすることばかりに気をとられていた時期があった。便利さがベストだという感覚は戦後の貧しい時代からの延長で、家電にしろ、なんにしろみな便利さを考え、競っていた。当然、出釆上がったものは、確かにコンパクトには動けたが、面白さには欠けていた。

 その後、縁側や軒の大事さ、床の間がなぜあるのか、といったことに興味が出てきて、部屋から何が見えるのか、家の外からその家をどう見せるかという視点を持てるようになった。そうすると設計が自然に外と結びついてくる。

 家から庭を眺めて、いい家ですねということもある。みどりの美しさ、水の清らかさ、はりつめた美しさ、涼しげな音色、それらは生活の豊かさを表現するものだ。その家が外からどう見えるのか、またどう見せるのか、そういう視点から庭を造ることのできる住宅設計であってほしいと思う。


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