職人の仲聞になる
設計者の仕事は、製図板の前で図面を描いたり、
クライアントと打合せをするだけではない。

 特に住宅づくりでは、現場に行き、そこで動き回り、そうして職人の仲間にしてもらうことも大切なことだ。現場で一緒に汗水たらして働くことをせず、能書ばかり言っても、職人は聞く耳をもってくれないものだし、実際そうだった。

  毎日毎日、現場に通って一生懸命学んで、自分がこうしたいと思うことを相談し、材料が足りなければ一緒に買いにいき、そうやって設計者が一生懸命やることで、自然に職人も引張られて良い仕事をしてくれるようになってくる。人の心を本当に動かすのは、腕がいいとか、センスだとかではなく、一生懸命にやるということだと思う。

 また、設計などをやっていると、何でも知っているというような顔つきになり勝ちだが、分からないものは分からないと素直に相談することも大切だ。「こんなふうにならないかなあ?」、と相談してみれば、職人はニヤリと笑って、経費を度外視してもやってくれることがある。

 みんなの力を引きだし、それを束ねるのも設計者の大きな役割だろう。たまにはお菓子でもジュースでも買って、現場に持っていくのもいい。そうすれば、休憩しながら色々な話も聞けるだろう。相手の失敗談等も聞き出して覚えておくと、きっと役に立つ時がくる。


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